雨上がりの空を見上げたら
「あーいや違…って別に違くないんだけど、そんな大した用じゃなくて!って
あーもーなに言ってんだ俺…」
何故かもの凄くテンパっていて、私は面白くてつい笑ってしまった。
「ふふっ、そんなに慌てなくても、ゆっくりで大丈夫ですよ?」
そう言うと、彼はまた目を逸らしてきた。
「ちょ、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
「あっ、はい!」
彼の後についていくと、しばらくして、人通りの少ない特別棟の廊下に着いた。
彼はそこで足を止めて、私を振り返ってくる。
彼の顔は耳まで赤く染まっていた。
「あの、俺、上崎斗真って言うんだ。自己紹介遅れてごめん!」
上崎斗真、どこかで聞いたことあるような…
記憶をさかのぼって、不意にその名前にピンとくる。