【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 第二王子レイノルドとマリアは、国王に認められた婚約者同士だ。
 無能な第一王子アルフレッドの影に埋もれ、有能さを発揮できずにいたレイノルドは、マリアの進言により第一位の王位継承権を与えられた。

 いずれ彼は国王になる。
 そして、万事とどこおりなく進めばマリアは王妃に。

 王侯貴族の結婚は政略的に行われるが、二人の間には、お互いの家の利害関係以上に大切な繋がりがあった。

 それが、恋だ。

「マリアヴェーラ様。お手紙が届いております」

 自室に戻ったマリアに、侍女のジルが一通の封筒を差し出した。

 四方には黄色い花々が描かれている。
 花畑に埋もれる宛名は『愛しい恋人へ』。ひっくり返すと、少々荒っぽい字で『レイノルド・N・タスティリヤ』と記されていた。

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