【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 憤慨したネリネは、顔を真っ赤にして扇で令嬢を叩き始めた。
 悲鳴を上げる令嬢を見ていられなくて、マリアはツカツカと歩み寄る。

「令嬢への八つ当たりはお止めください、ネリネ様」
「うるさい!」

 バシッ、とマリアの頬に扇が当たった。
 玉の肌が傷ついたのを見て、ネリネは、はっと我に返る。

「あ…………」
「聖女らしくない行いはつつしむべきでは? 行き過ぎた我がままを振りかざしていては、いつか心から後悔する日が来ますわ」

 第一王子の婚約者として持て囃されていたマリアが、婚約破棄されると一転してイジメを受けたように、一度でも賞賛のタガが外れてしまえば聖女だって標的になる。

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