【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 味方に付くはずの貴族令嬢からヘイトを溜めている現状では、その日は遠からず来ると、マリアにも予想がついた。

「仲間外れの恐ろしさは、わたくしの悪評を流した張本人が誰より分かっていらっしゃるはず。誰がやったか分からないように相手を貶める手段はいくらでもありますのよ」
「偉そうに……! それであたしを脅しているつもり?」
「つもりではありませんことよ――ああ、痛い!」

 マリアは、頬の傷に手を当てて、オーバーに背を丸めた。

「なんて酷いことをなさるのです、ネリネ様! わたくしの顔に傷が付いたら、レイノルド様はお怒りになるでしょう。ネリネ様は国王陛下からお叱りを受け、加担した令嬢たちはお仕置きを受けることになるかもしれません。例えば、反省するまで家から出してもらえなかったり、年老いた貴族に無理やり嫁がされたり……」

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