【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 靴や手袋、日傘までもがフリルで飾られていて、砂糖菓子のように甘ったるい雰囲気だ。

 うっとりするマリアを見て、ジルは深いため息を吐いた。

「マリアヴェーラ様は生来、可愛らしいものがお好きなのですから、奥に隠さなくてもよろしいのでは?」
「いいえ、隠しておくべきだわ。この子たちは、ジステッド公爵家の令嬢が身につけるには、ふさわしくないもの」

 子どもの頃から、高貴な女王様ではなく、王子様に守られるか弱いお姫様に憧れた。
 だが、長じるにつれてマリアの外見は、どんどん理想からかけ離れていった。

 背丈はこんなに大きくなりたくなかった。
 アーモンド型の瞳より、どんぐりみたいな丸い瞳が良かった。
 鼻筋の通った高い鼻も、ぽってりと厚くて大人っぽい唇も嫌いだ。

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