【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
8話 あくやくの初志貫徹
――――ジステッド公爵令嬢マリアヴェーラが第二王子レイノルドと結婚すれば、このタスティリヤ王国は天災と飢饉、他国からの侵略にさらされ、滅亡するだろう――
聖女ネリネの預言は宮殿中にとどろいた。レイノルドは、国王に対面して事情を説明すると言っていたが、それから音沙汰ない。
こんな状況では婚約披露についての相談もできないため、マリアは側近から借りた指示書をジステッド公爵家に持ち帰り、一人で読みこむ日々を送っていた。
「難しい顔をされていますね、マリアヴェーラ様。休憩しましょうか」
深紅のドレスを身につけたマリアがクレロにそう言われたのは、肖像画のモデルをはじめて三十分ほど経った頃だった。
つとめて表情を作っていたが、預言について思いを巡らせるうちに、顔をしかめてしまったようだ。
「申し訳ありません。わたくしったら、つい考え事を」
「そんな日もありますよ。結婚が迫った女性はとくにね」
聖女ネリネの預言は宮殿中にとどろいた。レイノルドは、国王に対面して事情を説明すると言っていたが、それから音沙汰ない。
こんな状況では婚約披露についての相談もできないため、マリアは側近から借りた指示書をジステッド公爵家に持ち帰り、一人で読みこむ日々を送っていた。
「難しい顔をされていますね、マリアヴェーラ様。休憩しましょうか」
深紅のドレスを身につけたマリアがクレロにそう言われたのは、肖像画のモデルをはじめて三十分ほど経った頃だった。
つとめて表情を作っていたが、預言について思いを巡らせるうちに、顔をしかめてしまったようだ。
「申し訳ありません。わたくしったら、つい考え事を」
「そんな日もありますよ。結婚が迫った女性はとくにね」