【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
9話 第二王子のあくゆう
「手紙は来てるか」
レイノルドがたずねると、デスクワーク中だった側近は立ち上がって、執務室のすみに置かれていた文箱をあさった。
「本日のレイノルド殿下宛の手紙は十六通。ほとんどが貴族からのご機嫌うかがいで、殿下ご本人に観覧していただく必要のある文書は二通です」
「聞いてるのはそっちじゃない。マリアヴェーラからの手紙だ」
苛立たしげに問い直すと、側近は残念そうに首を振った。
「ジステッド公爵家からの手紙は届いておりません。渡し忘れはないか、部下に確認に行ってまいりますか?」
「……もういい」
あきらめて自分の机に戻る。ギギッと音を鳴らして背もたれに寄りかかると、窓越しに夏めいた青空が見えた。
レイノルドがたずねると、デスクワーク中だった側近は立ち上がって、執務室のすみに置かれていた文箱をあさった。
「本日のレイノルド殿下宛の手紙は十六通。ほとんどが貴族からのご機嫌うかがいで、殿下ご本人に観覧していただく必要のある文書は二通です」
「聞いてるのはそっちじゃない。マリアヴェーラからの手紙だ」
苛立たしげに問い直すと、側近は残念そうに首を振った。
「ジステッド公爵家からの手紙は届いておりません。渡し忘れはないか、部下に確認に行ってまいりますか?」
「……もういい」
あきらめて自分の机に戻る。ギギッと音を鳴らして背もたれに寄りかかると、窓越しに夏めいた青空が見えた。