【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 結婚が決まると、トラブルや喧嘩が起こりやすいとは言われているが、本人たちの気持ちの揺れもまた、この時期特有のイベントかもしれない。

 相手が好きだから、相手を幸せにしたいから、これでいいのかと思い悩む。

(まあ、恋だよね。レイがしているのは、どうみても)

 だが、正直に認めてやるのもつまらないので、ヘンリーは悪魔になる。

「お相手が何を求めているのかは、本人に尋ねるしかないんじゃないかな。女の子と仲良くなるには、なんでも聞いちゃうのがコツだよ。やってみて」
「お前を手本にすると、破局する未来しか見えない。今月だけで何人の女を泣かせた?」
「覚えてるだけで三人? 音信不通の子が四人居るから、そっちも含めた方がいい?」

 とぼけたヘンリーに、レイノルドは軽蔑の目を向けた。
 そして「二度と恋を語るな」と命じたのだった。
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