【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

10話 ここにいて依依恋恋

 マリアは、自室でパーティー会場の図面を開いていた。

 身につけたレモンイエローのサマードレスは、今夏にあわせて新調したものだ。
 開けた窓から入ってくる風が、チュールで作られたスリーブに越しに肌を撫でるので、気温のわりに暑くはなかった。

 指で図面をなぞりながら、どんな風に飾られるかイメージしていく。

「たしか、ここには軽食ブースが用意されるはず……」
「失礼いたします、マリアヴェーラ様。宮殿よりお手紙が届いております」

 ジルが持ってきた白い封筒を見て、マリアは表情を明るくした。

「レイノルド様から?」
「いいえ。第二王子殿下の側近殿からです」
「そう……」

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