【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
「あんた、ずっと看病してくれたんだな。おかげで風邪が治った」
「大事にならなくて安心しましたわ。ですが、窓辺で眠ってはぶり返してしまいます。わたくしのことは放っておいて、ベッドでお休みになって構いませんでしたのに」
「そうすると、あんたが寝る場所がないだろ……」

 憮然とした顔で言われたが、ベッドはキングサイズよりも大きな特注だ。マリアは、身長こそ高めなものの体つきは痩せ形なので、邪魔にならないはずだ。

「こんなに大きいのですから、端に置いても落ちませんわよ?」
「端でも同じベッドだろ。あんたの意思もたしかめずに、そんなことはしない」

 レイノルドは、両腕を高く上げて伸びをした。
 考えなしだったマリアは、逆に体をちぢめる。

(そうよね。結婚前の男女が同じベッドで眠るわけにはいかないわよね)

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