【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 レイノルドの私室のドアを開けて、ヘンリーが顔を出した。

「戻ってきたよ?」

 そわそわ落ち着きなく待ちぼうけていたレイノルドは、すぐさま立ち上がって廊下へと急いだ。
 絨毯が敷かれた廊下には、マリアが侍女も連れずに微笑んでいる。

「どうだった?」
「疑いは晴れました。ご安心くださいませ」
「そうか……」

 ほっとして背を丸めたレイノルドは、彼女の腕にかかった籐のバスケットに目を留めた。

「それは?」
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