【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
顔を隠したマリアとレイノルドは、人目につかないように注意しながら天井裏に設けられた天文室へ向かった。
数台のカンテラが灯るだけの暗い部屋。
その天井は、半球の形をした大窓になっていて、夜空に向けて巨大な望遠鏡が置かれている。
「大きな装置ですね。わたくし、これほど本格的な望遠鏡は初めて見ましたわ」
「トラデス家の数代前の当主が星に凝っていた。これは外国から取り寄せた物で、レンズに透明度の高い魔晶石を使っているらしい。人払いはすませてあるから、布をとって観察しても大丈夫だ」
「分かりました」
マリアは、薄布を頭から外して、レンズを覗き込んだ。
濃紺の空に、白や赤、黄色といった砂糖粒のような光が煌めいている。
星はここよりはるか遠くにあって、今見えている光は何光年も前の輝きだという。時を超えて届いたロマンに、マリアはうっとりと頬を染めた。
数台のカンテラが灯るだけの暗い部屋。
その天井は、半球の形をした大窓になっていて、夜空に向けて巨大な望遠鏡が置かれている。
「大きな装置ですね。わたくし、これほど本格的な望遠鏡は初めて見ましたわ」
「トラデス家の数代前の当主が星に凝っていた。これは外国から取り寄せた物で、レンズに透明度の高い魔晶石を使っているらしい。人払いはすませてあるから、布をとって観察しても大丈夫だ」
「分かりました」
マリアは、薄布を頭から外して、レンズを覗き込んだ。
濃紺の空に、白や赤、黄色といった砂糖粒のような光が煌めいている。
星はここよりはるか遠くにあって、今見えている光は何光年も前の輝きだという。時を超えて届いたロマンに、マリアはうっとりと頬を染めた。