【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

4話 こいびとの絶対条件

 声が応接間に近づいてきたので、マリアとレイノルドはピアノの影に隠れた。

「元手はいくらあってもいいんだ!」

 そう言って入ってきたのは、元クラスメイトの伯爵令嬢ミゼルとその恋人のパーマシーだった。家の格もほぼ同じで、とても仲の良い二人だと聞いていたが、パーマシーはミゼルを声高に怒鳴りつける。

「資金を集められたら、僕がしかるように運用して、二倍にも三倍にもしてみせるって言ってるじゃないか!」
「で、でも……わたしが渡せるお金は、もう残っていません……」
「君のお父様から都合してもらえないだろうか。これは未来への投資だと説明してくれ。僕が兄より認められれば、伯爵家を継がせてもらえるかもしれないんだ!」

 どうにもきな臭い話題だと、物陰のマリアは思った。
 パーマシーは都から遠いところに領地がある伯爵家の三男。現在の当主は持っている領地が二つあるので、長兄と次兄にそれぞれ継がせるはずだ。

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