【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
ふと窓に視線をやると、ちょうどレイノルドとルクレツィアがいる東屋が見えた。
寄り添う二人の甘い空気は、辺りの空気を輝かせる。
レイノルドはルクレツィアの髪に触れて微笑む。
これまでマリアにしてきたように。
(レイノルド様……)
マリアは、悲痛な表情で窓に手をついた。
あんなに愛し合っていたのに、今そばには別の女性がいる。
これまで囁かれた甘い言葉に嘘があったとは思えない。
だからこそ、心変わりが辛いだのだ。
(いいえ。ただの心変わりではないわ)
誠実なレイノルドのことだ。マリアに興味がなくなって他の女性に乗り換えるとしたら、きっちり関係を清算してから次に行くはず。
これは何かの作戦ではないだろうか。
たとえば、レイノルドが独自にルクレツィアを罠にはめようとしていて、マリアを巻き込まないように冷たくあしらっているとか――
(考えすぎね)
レイノルドの気持ちが自分に残していてほしいと思うから、裏があるように思えるのだ。
王妃が言うようにマリアは捨てられた。
「っ……レイノルド様……」
遠くに見える二人の姿がかすむ。
せり上がってきた涙は頬に流れ落ちて、ずるずると座り込むようにマリアはその場に泣き崩れた。
寄り添う二人の甘い空気は、辺りの空気を輝かせる。
レイノルドはルクレツィアの髪に触れて微笑む。
これまでマリアにしてきたように。
(レイノルド様……)
マリアは、悲痛な表情で窓に手をついた。
あんなに愛し合っていたのに、今そばには別の女性がいる。
これまで囁かれた甘い言葉に嘘があったとは思えない。
だからこそ、心変わりが辛いだのだ。
(いいえ。ただの心変わりではないわ)
誠実なレイノルドのことだ。マリアに興味がなくなって他の女性に乗り換えるとしたら、きっちり関係を清算してから次に行くはず。
これは何かの作戦ではないだろうか。
たとえば、レイノルドが独自にルクレツィアを罠にはめようとしていて、マリアを巻き込まないように冷たくあしらっているとか――
(考えすぎね)
レイノルドの気持ちが自分に残していてほしいと思うから、裏があるように思えるのだ。
王妃が言うようにマリアは捨てられた。
「っ……レイノルド様……」
遠くに見える二人の姿がかすむ。
せり上がってきた涙は頬に流れ落ちて、ずるずると座り込むようにマリアはその場に泣き崩れた。