【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 マリアは、アルフレッドのため、第一王子に相応しい婚約者になるため、つとめて完璧な公爵令嬢を目指してきた。
 周囲はみんな婚約者が誰か知っていたので、わざわざ「どんなタイプが好き?」なんて話題を出なかったし、マリア自身も考えてこなかった。

 今さら自分の好みなんか分からない。
 だけど、恋をしたい気持ちだけは、マリアの胸の大事なところでキラキラと輝いている。それを無視なんてできない。

 マリアは、まず自分の理想を書き出してみることにした。それをふまえて、どこに行けば出会えそうか、傾向と対策を練るつもりでいた。
 狩猟が得意そうな男性だったら山へ行くべきだし、花に詳しい男性だったら田舎まで足を伸ばしてみる必要がある。

 書き出せた好みの男性像は、そっくりそのままアルフレッドだった。
 だが、マリアの理想と第一王子は似て非なるものだ。

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