【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
「理想の人の髪の色は……そうね、銀髪というのも素敵だわ。目鼻立ちは……はっきりしているよりは、涼やかな人がいいかしら……。はきはきしゃべられると、長時間きいているのが辛くなるから、声は低めで……。でも、わたくしの話も同じくらい聞いてくださる方がいいわ……」

 純粋な自分の好みを探していくのは、根気と時間のいる作業だった。
 何度もペンをインクに浸して、先が乾かないように気をつける。

「……わたくしは背が高いから、それより高いとエスコートしていただくのが楽なのよね……。感情豊かでも、思うままに表に出していたら単なるお馬鹿さんだわ……。秘めたる気持ちがある方が大人びて魅力的よ。そう、賞賛をもらってもおごることなく、正しく自分の価値を理解している人こそ賢いわ! あとは、子どもには特別やさしいとか、友好的に人と接するとか、そういうギャップがあれば、なおよし!」

 どんどんとイメージが湧いてきて、昼までには『わたしの理想の恋人』が埋まった。頭から読み返しながら、まだ見ぬ相手を想像する。

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