【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
(銀髪で、涼やかな顔立ちで、低い声で落ち着いた話し方をして、わたくしの話をよく聞いてくれて……)

 ふわふわした理想が像を結んでいく。理想の人は、もったいぶって背を向けているけれど、手が届かない相手ではなさそうだ。

(背はわたくしより十五センチくらい高くて、自分の感情に正直すぎない性格で、周りの評価に左右されない自分を持っている人……。あら?)

 何だか、身近にいる男性に似ているような。
 マリアがそう思った瞬間、理想の人は、暗めの銀髪をなびかせて振り向いた。
 ようやく見えた顔だちに、マリアはびっくりする。

「レイノルド王子殿下!?」

 信じられなくて、マリアはバタンとノートを閉じた。
 顔がカーッと赤くなるのを感じる。

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