【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
マリアヴェーラ・ジステッド公爵令嬢。
またの名を高嶺の花。
彼女はミゼルにパーマシーと別れる決心をさせ、彼がはまった投資話の黒幕を暴き出して、ミゼルの婚約解消が致し方なかったのだと証明してくれた。
そして自らも苦難を乗り越えて、今では第二王子レイノルドの正式な婚約者になっている。
見た目の高貴さとは裏腹にかわいい物好きな彼女が、ミゼルは大好きだ。
もちろん友人としてである。
親友という絶好の位置で、マリアの話を聞いてサポートできる今の状況がとても楽しい。
マリアと一緒にいられるなら、もう男性なんていらないとすら思えるほどだ。
しかし、父と兄はミゼルの身の上を心配している。
早く別の婚約者を見つけてほしいと毎日のように言われている。
ミゼルは困った。まったくもって男性に興味が湧かないのだ。
たぶん、恋ができないわけではないと思うけれど……。
いっそ、このまま独身を貫いて、マリアを支える女官になるのもいいかもしれない。
(独り身でいるなら、家に迷惑をかけないように仕事をしたい)
夫人のサロンに参加して、女官の登用試験についての情報を仕入れたミゼルは、マリアや家族には内緒で勉強をはじめた。
一人きりになる夜の時間を狙って、ランプを灯して参考書を開く。
しかし今日は、読んでも読んでも内容が頭に入ってこなかった。
(夜更かしばかりしているせいかとても眠い……)
諦めて眠った方がいいかもしれない。
ミゼルはランプを消して、大急ぎで寝る準備をすると、倒れるようにベッドに突っ伏した。
やっと眠れる――。
意識を手放そうとしたその時、カタン、と窓の向こうで音がした。
そちらは狭いベランダになっている。
(夜風で鉢でも倒れたのかしら?)
ウトウトしながらベッドを出たミゼルは、ベランダへ続くガラス戸を開く。
すると、やけにギラギラした紫色の瞳と視線があった。
「こんばんは~、ミゼルちゃん?」
またの名を高嶺の花。
彼女はミゼルにパーマシーと別れる決心をさせ、彼がはまった投資話の黒幕を暴き出して、ミゼルの婚約解消が致し方なかったのだと証明してくれた。
そして自らも苦難を乗り越えて、今では第二王子レイノルドの正式な婚約者になっている。
見た目の高貴さとは裏腹にかわいい物好きな彼女が、ミゼルは大好きだ。
もちろん友人としてである。
親友という絶好の位置で、マリアの話を聞いてサポートできる今の状況がとても楽しい。
マリアと一緒にいられるなら、もう男性なんていらないとすら思えるほどだ。
しかし、父と兄はミゼルの身の上を心配している。
早く別の婚約者を見つけてほしいと毎日のように言われている。
ミゼルは困った。まったくもって男性に興味が湧かないのだ。
たぶん、恋ができないわけではないと思うけれど……。
いっそ、このまま独身を貫いて、マリアを支える女官になるのもいいかもしれない。
(独り身でいるなら、家に迷惑をかけないように仕事をしたい)
夫人のサロンに参加して、女官の登用試験についての情報を仕入れたミゼルは、マリアや家族には内緒で勉強をはじめた。
一人きりになる夜の時間を狙って、ランプを灯して参考書を開く。
しかし今日は、読んでも読んでも内容が頭に入ってこなかった。
(夜更かしばかりしているせいかとても眠い……)
諦めて眠った方がいいかもしれない。
ミゼルはランプを消して、大急ぎで寝る準備をすると、倒れるようにベッドに突っ伏した。
やっと眠れる――。
意識を手放そうとしたその時、カタン、と窓の向こうで音がした。
そちらは狭いベランダになっている。
(夜風で鉢でも倒れたのかしら?)
ウトウトしながらベッドを出たミゼルは、ベランダへ続くガラス戸を開く。
すると、やけにギラギラした紫色の瞳と視線があった。
「こんばんは~、ミゼルちゃん?」