【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
6話 二人の恋のはじめ方
ミゼルは包帯を巻いたヘンリーを連れてマリアヴェーラに会いに行った。
二人で伯爵家に帰ってきた後、その足で父の執務室へ向かう。
「お父様、お話があります」
「な、なんだい急に」
怪我をした男を連れてやってきた娘の真剣な表情に、小心者の父はうろたえた。
相手が王立騎士団の制服を着ているので余計にだ。
ミゼルは、改めて父にヘンリーを紹介する。
「この方はヘンリー・トラデス子爵令息です。貴族学園では私と同年の卒業でした。王立騎士団に所属していて、現在はレイノルド王子殿下の護衛を務めておられます。ちなみに、頭の怪我は私が殴りました」
「ミゼルがやったのかい!?」
父は椅子から飛び上がると、ヘンリーに向かって平謝りした。
「娘が申し訳ありません。トラデス子爵家にもお詫びを入れましょう」
「結構です。やったというより、やり返されたという方が正しいですし、怪我のことを親父に知られたら『騎士にあるまじき不覚』と殴られるんで。それに、見た目ほどたいしたことない怪我ですよ」
空笑いするヘンリーに、ミゼルは大きく首を振った。
「たいしたことなくても怪我をさせたのには変わりありません。ですから私、責任を取ると決めました」
ミゼルはまっすぐにヘンリーを見上げて、一世一代の思いを告げた。
「ヘンリー様、私と結婚してください」
二人で伯爵家に帰ってきた後、その足で父の執務室へ向かう。
「お父様、お話があります」
「な、なんだい急に」
怪我をした男を連れてやってきた娘の真剣な表情に、小心者の父はうろたえた。
相手が王立騎士団の制服を着ているので余計にだ。
ミゼルは、改めて父にヘンリーを紹介する。
「この方はヘンリー・トラデス子爵令息です。貴族学園では私と同年の卒業でした。王立騎士団に所属していて、現在はレイノルド王子殿下の護衛を務めておられます。ちなみに、頭の怪我は私が殴りました」
「ミゼルがやったのかい!?」
父は椅子から飛び上がると、ヘンリーに向かって平謝りした。
「娘が申し訳ありません。トラデス子爵家にもお詫びを入れましょう」
「結構です。やったというより、やり返されたという方が正しいですし、怪我のことを親父に知られたら『騎士にあるまじき不覚』と殴られるんで。それに、見た目ほどたいしたことない怪我ですよ」
空笑いするヘンリーに、ミゼルは大きく首を振った。
「たいしたことなくても怪我をさせたのには変わりありません。ですから私、責任を取ると決めました」
ミゼルはまっすぐにヘンリーを見上げて、一世一代の思いを告げた。
「ヘンリー様、私と結婚してください」