【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 赤と黒の2色に塗られた円いルーレットの溝には、0~36までの数字が書かれている。同じ数字のマス目がテーブルにあり、客は目当ての数字にコインを乗せる。
 ルーレットの球が賭けた数字に入れば、倍額の配当が得られる。

 ルールは簡単だが、的中させるのは難しそうだ。

「必勝法でもありますの?」
「初心者なら、赤か黒のどちらかに賭けるのがいいが、それではつまらない。0に全額」
「37分の36通りは負けますわよ。わたくしなら……赤に賭けますわ」

 言い争っていると、18にチップの半分を置いた老紳士に嗤われた。

「ご令嬢、迷っているとツキが逃げますぞ。ギャンブルと恋愛は直感が大事ですからな。いいと思ったときにつぎ込まないと、チャンスは風のように過ぎ去ってしまうものです」
「ご丁寧にどうも!」

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