【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 お節介を焼かれてやけになったマリアは、手持ちのチップを全部0のマスにのせた。ディーラーが勝負のホイールを回す。
 すると、銀色の玉はマリアが賭けた0に落ちた。

「か、勝ってしまいましたわ……」
「次は19、その次は24、次は7、そのあとは好きに」

 レイノルドが囁く通りに賭けると、かならず勝った。おかげで、マリアの手持ちはどんどん膨らんでいく。
 あまりの勝負強さに、他のテーブルの客まで集まってきてしまった。

(目立ってはいけないのに……!)

 5回目のチップを持ち上げたとき、レイノルドに後ろから抱きしめられた。

「な、なんです、急に……」
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