【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 レイノルドが、マリアをここに連れてきた理由が分かった。
 しかし、なぜレイノルドが勝てるのかまでは見当が付かない。5回目は好きにしていいと言われたので、マリアが好きな数字である5にチップをのせる。

 客が置き場を決めると、ディーラーがルーレットの玉を回した。円周にそってくるくると回っていた玉は、速度を弱め――5に入った。

「勝ったわ!」

 マリアが見ると、レイノルドは驚いた顔をしている。まさか勝つとは思わなかったのだろう。丸くした目を鋭く尖らせて、ディーラーを睨みつけた。

「お前……」

 ディーラーは、それを無視してマリアのチップを増やしてくれた。

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