【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
「幸運なお嬢さん、お連れの方が怖い顔をしておられますよ。そろそろ上がっては?」
「そうしますわ」

 換金を頼んで席を立つ。腕をほどいたレイノルドは「あいつ適当に回したな」と愚痴をこぼした。仕掛けが分かったマリアは呆れてしまう。

「あのディーラーは共犯でしたのね。あなたが言った数に玉が入るような小細工をなさったんでしょう?」

 レイノルドは、勝ちを当てたのではない。ディーラーに勝たせてもらっていたのだ。5回目で負ける計画だったので、最後は操らずに回したら、マリアの強運で勝ちを引き寄せてしまったというわけである。

「人を手駒に使うなんて。噂通りの悪辣ぶりですわね。けれど、ご愁傷さま。わたくしは簡単に利用できる令嬢ではなくてよ」
「利用はしていない。ただ、どうせ復讐するなら一枚噛んでいた方が楽しいだろ」
「ふくしゅう?」

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