【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
「歴史を知ったうえで、『外国では使用されているなら、我が国で解禁しても安全だ』と思っておられる。スート商会も同じ考えだ。我らは共闘しているんだよ」

 共闘といえば聞こえがいいが、アルフレッドがスート商会の手先になっているのは一目瞭然だった。
 王子がむやみに権威をふりかざせば、国民がわりを食うはめになる。

(わたくしがお側にいたならば、そんな愚策はお止めくださいと諫めますのに……)

 以前のアルフレッドなら、優秀な側近たちがいて、彼のやることが度を超さないように苦心していた。第一王子には人望があると評判なのも、献身的な側近がおおいところから来ている。

「第一王子殿下がそうお考えでも、側近たちが認めないでしょう」
「配下は第一王子の側から離れたそうだ。幼い頃からの婚約破棄を強行したことに怒って、いっせいに辞表を叩きつけたとか。もったいないことをする連中だな」

「なるほど……」

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