【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 いつの間にか、レイノルドは彼女が好きになっていた。彼女が、いつか兄の妃になることを思うと胸が苦しくなった。
 彼女をあまり大切にしない兄に怒りを覚えることすらあった。

 ついにレイノルドが兄を見かぎったのは、ハートの木があるという丘へ行ったときのこと。恋を叶えると評判の場所だったので、彼女も呼ばれていた。
 一目で気合いが入っていると分かる服装だった。

 フリルがふんだんにあしらわれた白いドレスと、髪につけた薔薇のヘッドピース、控えめに垂れ下がるレースは花嫁のようだった。
 まだ十歳ながら、髪が風になびく様にまで気品があり、赤く染まった頬とくちびるは大人の女性のように美しかった。
 表情は少し緊張していて、兄を見る瞳は熱い。

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