【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 しょせん、第一王子の恋人であるプリシラは、第二王子が不敬を問われるような身分にない。だが、頭に血が上ったアルフレッドには言っても分からないようだ。
 アルフレッドは、帯剣に手をかけて、ツバをまき散らしながら怒鳴る。
 
「第二王子の身でありながら城を抜け出し、民草とばかり連れだっているお前が、私に口答えするんじゃない! 私の行いが間違っていたことなど、過去に一度もない。私が不敬と言ったら不敬なのだ。謝らなければ斬る! いいか、本気だぞ!!」

 いきどおる兄を見て、レイノルドはうんざりと肩をすくめた。

「…………もう、百年の恋も冷めただろ。俺にしとけ」
「お言葉ですが、レイノルド様。わたくしは、そちらへの想いは、とっくに冷め切っておりましてよ」

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