【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

11話 あばかれる詐欺魔法

 第一王子の婚約式典には、タスティリヤ王国の要人が集められていた。花で飾られた聖堂の玉座には国王がいて、見下ろす位置に正装のアルフレッドとドレス姿のプリシラが平伏している。

 国王に認められれば、二人は晴れて婚約者だ。早ければ明日から結婚式への準備がはじめられる。
 王子の結婚式は国家をあげての式典になる。儀式がつつがなく執り行われるように、また、アカデメイア大陸中から来る参賀者を迎えるために、入念な準備が必要なのだ。

 冠をかぶった国王は、王笏を立てて言い放った。

「第一王子アルフレッドとプリシラ・スートの婚約をここに認め――」

 そのとき、ガタンと椅子が倒れた。王族がすわるスペースで一人立ち上がっていたのは、ジステッド公爵令嬢マリアヴェーラ・ジステッドだった。
 肩を出したドレスは、薔薇の花びらをまとったようにいくえものパーツが折り重なった豪華なもの。当人の美しさもあり、人並みから立ち上がるだけで、大輪が花開いたような華やかさがあった。

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