爆発したセクシャルマイノリティより愛をこめて
前述したように電気治療をしたため、入院時の記憶も飛び飛びだ。

ただ、そのときに自分が男なのか女なのか悩んでいることが分かるメモがあった。

でも、入院している他の“同性”の人達と入浴することにあまり抵抗を感じていないときがあったことは覚えている。

退院時には、
自分はやはり体と逆の性別ではない
と、思うようになっていた。

成人式の前撮りで着る衣装も、嫌な気持ちがあったが、同時にぬるい覚悟のようなものがあった。

僕は生まれ持った体のこの性別で生きていくんだって……。

でもその覚悟のぬるさが、今も僕を苦しめている。


退院してから前撮りをして、高校にも復学して。

少しの間僕は性別について悩んでいたことを忘れていた。

でも、あるとき書き残していた文章を読んで思い出した。

それを書いたのは、入院するー週間前。高校三年生のときだった。

文章を読んで、ハッとした。

そしてまた性別のことについて悩む日々が始まる……。
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