むすんで、ひらいて、恋をして
教室に到着するまでの間に、ざわめきは少しずつ大きくなって、A組に到着したころには悲鳴に近い声が、あちらこちらで響き渡る。



「り、り、莉生。さ、さすがに、これは、まずいよ……」



A組の教室の前まで来たところで、怖気づく。



あちらこちらから「あのふたり、つきあってるの⁈」って甲高い声が聞こえてくる。



でも、「つきあってるわけじゃ、ありません! 姉弟です!」なんて言うこともできなくて。



ただ、肩を縮めて好奇の目に耐えることしかできない。



びくびくと怯えていると、ふわりと笑った莉生と目が合った。



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