むすんで、ひらいて、恋をして
「それにしても、よくわかったわね」



泣きつくして、鼻を真っ赤にしたお母さんが、笑顔をつくる。



「私、カップル動画見るの、好きで。でも、ああいうのって、実際はビジネスカップルばっかりだなーって、ちょっと冷めた目で見てたの。見られることを意識して、意図的にふるまってるんだろうなーって」



「カップル動画?」




お母さんも莉生のお父さんも、目をぱちくりさせている。




「そしたら、あるときに、『あれ』って思ったの。お母さんたちと似てるなって」




「俺は、全然気がつかなかった……」




「たまにはカップル動画も役に立つでしょ?」




すると、莉生のお父さんが穏やかに笑って、続きをつむぐ。




「ビジネスカップルっていうのとは、違うよ。僕にとっても、春宮さんにとっても七恵は本当に大切な存在で、その不在を一緒に悲しんで理解しあえる唯一の存在だから」



「そうね、周りに理解してもらうのはちょっと難しいかもしれないけど、私たち親友よね」



そう言って、莉生のお父さんと、お母さんは穏やかに笑顔を分けあった。



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