なないろ。-short stories-
ボーッとしながら門扉に手をかけたところで
「おい瑞香、なんで俺のこと無視してんだよ」
という声で我に帰る。
声のした方に目を向けると隣の家の門扉にまさかの李星が寄りかかっていた。
「え、なんでいるの」
「何、いちゃダメなの。せっかくプレゼントあげようと思ってたのに」
少し不満げにそう言って何やらゴソゴソしたと思うとなんと真っ赤なバラの花束を差し出して
「たんじょうび、おめでとー」
って言うんだからびっくり。
「ありがとう、李星がお花くれるとか。しかもバラ」
「だってバラ好きじゃん、おまえ」
少し感激して花束に目を落として。
「あれ、なんで7本なの?どうせならキリのいい10本とかにしてくれたら良かったのに、って無視しないでよ!」
相変わらず私の前でだけ、ポーカーフェイス。ほんと何考えてるかわからないんだよ、この人。