なないろ。-short stories-
#Story 7
「お互い、いろいろあって忙しいし、だから、……」
もう次に来る言葉がどんなものかなんて分かりきってるのに。
頑なにそれを認めたくない自分がいる。
「…もう、恋人、やめにしようか、…」
その言葉が死刑宣告のように思えた。
それでも、これが最後だからと
気持ちを殺して口を開く。
「……うん、今まで縛ってごめん、」
「私こそごめんね、ありがとう、」
哀しそうに微笑みながらそう呟いて、夕闇に飲まれていく君の背中を正視する。
最後まで優しいんだね、君は。