なないろ。-short stories-
『なんで死んじゃったの』
そう、口には出せなかった。
口に出してしまったら最後、それが現実的なものになってしまうと思ったから。
信じてるんだ、心のどこか。片隅で。
今日こそは、明日こそは私のところに帰ってきてくれるんだって。
『ごめん、遅くなった』
そう、いつもみたいに申し訳ないなんて思ってもなさそうな声と一緒に。
『辛いよね』 『元気出して』 『思いっきり泣いていいんだよ』
友達がそんな言葉をかけてくれるけど今の私にはどれも響かなかった。