なないろ。-short stories-




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「っ、やめてくださいっ…」

学校からの帰り道。どこからかそんな声が聞こえてきて足を止めた。

「いいじゃん、おじょーさん。俺らと遊ぼー」

え、ナンパじゃん。コンビニの前にいかにもって感じのガラの悪い男が3人と、セーラー服を着た、小柄な女の子が一人。

助けなきゃ、そう思って体が動いた。

「すみません、その子、俺の彼女なんだけど」

「え…」

「人の女に手出さないでくれる?怖がってんじゃん」

ちら、と女の子の方を見ると、さっぱり訳が分からない、というような顔をされた。

まぁそりゃそっか、赤の他人から『俺の彼女』宣言されたんだもんな。

「男いたのかよ、先に言えっての」

いや、ふつーあの雰囲気で『私彼氏いるんで』とか言えるわけねーだろ。

と心の中でツッコミつつ。捨てゼリフを吐いて足早にさっていく男たちを見送った。



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