約束
「私はもう、快を抱き締めてあげられない。辛い時に傍に居てあげられない。快はそれでもいいって言うかもしれないけど、私は生きてる快を縛りつけるなんてできない……!」


泣き声が、喉の奥から漏れた。


隣にいてよ。


手を繋いでよ。


あの頃みたいに『また』って言って。


叶わない願いを、嗚咽と共に飲み込んだ。


オレンジの光が体を透かす。


それはまるで天から降ろされた梯子のようで、私はさよならが近いのだと静かに悟った。
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