約束



板張りの廊下は、ひと足踏み出す度にぎぃ、ぎぃ、と軋む音が聞こえてきそうだった。


窓が手入れされていないせいで薄暗い廊下には、カビ臭い匂いが充満していて、私は無意識のうちに自分の体を両手で掻き抱く。


よりによって変な噂を聞いた日に旧校舎に行かなきゃいけないなんて、本当にツイてない。


旧校舎の美術室から見える景色を題材にさえしなければ、こんなことにはならなかったのに。


噂話は好きだけど、自分に降りかかる怪談話は嫌いだ。そういうのは少し離れたところで見ている方が面白い。


恐ろしいね怖いねと、身を寄せあって話しているうちが一等楽しいのだ。
< 3 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop