約束
なにはともあれ、早く終わらせてしまおう。


こんなところにいたら私までカビになってしまいそうだ。


そう思って美術室に足を踏み入れた時、人影がゆらりと私を振り返った。


どくん、と心臓が跳ねる。


頭が白く弾けて、凍り付いたようにその場で動けなくなってしまう。


「あ……ぁ……」


震える声が聞こえたのか聞こえなかったのか、影はぬるりと私に近づき、私の顔を覗き見た。


思わず目を瞑った瞬間、影がはっと息を飲んだ。
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