約束
「泣くな」


泣きながら、快が言った。


「泣かないでよ」


快の頬に、手を伸ばす。


触れられないことを知りながら。


「約束、守れなくてごめんね」


描いていた。


ずっと、この窓から見える君の姿を。


幸せで、甘くて、愛おしい時間。


色褪せることなく、確かに私の心に眠っていた。


「約束なんてどうだっていい。成仏なんかするな」


快は子供みたいに涙を零す。


違う、“子供”なんだ。


18歳の頃の心が、まだ快の中にある。


「駄目だよ」


「駄目じゃない」


「だって……」


「成仏したら、もう会えなくなる」


「分かってる。でも」
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