7歳の侯爵夫人
プロローグ
「コンスタンス!」
最後に見たのは、驚愕に目を見開きながら私の名前を呼ぶ青年の顔。
その深く蒼い瞳を見つめながら、私の意識は沈んでいったー。
◇◇◇
(長い長い夢を見ていたような気がする…)
コンスタンスは目を閉じたまま微睡んでいた。
目は覚めているはずなのだが、瞼が重くて、もう少しだけ寝ていたい気分だったのだ。
(ああでももう起きなくちゃ。今日からお妃教育が始まるんだから…)
昨日、正式に王太子フィリップ殿下と公爵令嬢コンスタンスとの婚約が整った。
フィリップは8歳でコンスタンスは7歳。
まだまだ恋もわからないコンスタンスではあるが、フィリップの妃になるのは嫌ではない。
というかむしろ嬉しい。
フィリップは子供の目から見ても素敵で優しい王子様だ。
それに2人は所謂幼馴染のような関係で、その仲も良好であった。
正式にフィリップの婚約者になったコンスタンスはいずれ王太子妃、王妃になる身。
今までは両親である公爵夫妻に可愛がられ、甘やかされて育ってきたが、これからはそうもいかない。
だって今日から、厳しいお妃教育が待っているのだから。
(だから早く起きなくちゃ!)
コンスタンスは重い瞼を思いっきり開けた。
(…あれ…?)
何か違和感がある。
天井の模様がいつもと違うような気がして、コンスタンスはなんとなく目をキョロキョロとさせた。
「…奥様!」
突然耳の脇で甲高い声が聞こえて、誰かが自分の顔を覗き込んだ。
ポロポロと涙をこぼしながら自分を見つめる女性の顔に、見覚えはある。
でも、この人は明らかに自分が知っている人間より年をとっている。
それに…。
「ああ良かった!奥様、もう大丈夫ですわ!」
奥様って……、一体誰のこと⁇
最後に見たのは、驚愕に目を見開きながら私の名前を呼ぶ青年の顔。
その深く蒼い瞳を見つめながら、私の意識は沈んでいったー。
◇◇◇
(長い長い夢を見ていたような気がする…)
コンスタンスは目を閉じたまま微睡んでいた。
目は覚めているはずなのだが、瞼が重くて、もう少しだけ寝ていたい気分だったのだ。
(ああでももう起きなくちゃ。今日からお妃教育が始まるんだから…)
昨日、正式に王太子フィリップ殿下と公爵令嬢コンスタンスとの婚約が整った。
フィリップは8歳でコンスタンスは7歳。
まだまだ恋もわからないコンスタンスではあるが、フィリップの妃になるのは嫌ではない。
というかむしろ嬉しい。
フィリップは子供の目から見ても素敵で優しい王子様だ。
それに2人は所謂幼馴染のような関係で、その仲も良好であった。
正式にフィリップの婚約者になったコンスタンスはいずれ王太子妃、王妃になる身。
今までは両親である公爵夫妻に可愛がられ、甘やかされて育ってきたが、これからはそうもいかない。
だって今日から、厳しいお妃教育が待っているのだから。
(だから早く起きなくちゃ!)
コンスタンスは重い瞼を思いっきり開けた。
(…あれ…?)
何か違和感がある。
天井の模様がいつもと違うような気がして、コンスタンスはなんとなく目をキョロキョロとさせた。
「…奥様!」
突然耳の脇で甲高い声が聞こえて、誰かが自分の顔を覗き込んだ。
ポロポロと涙をこぼしながら自分を見つめる女性の顔に、見覚えはある。
でも、この人は明らかに自分が知っている人間より年をとっている。
それに…。
「ああ良かった!奥様、もう大丈夫ですわ!」
奥様って……、一体誰のこと⁇
< 1 / 342 >