7歳の侯爵夫人
その後、医師に診察を受けている間に、両親と兄が駆けつけてきた。
「コニー!」
「コニー!ああ、良かった!」
口々に名を呼びながら、3人が走り寄り、コンスタンスをそっと抱きしめる。
本当は可愛い娘を思い切り抱きしめたいところだが、頭を打っているため、これでも気遣っているのだ。
最初は目を覚ました喜びでいっぱいだった両親は、コンスタンスの異変に気づかない。
だが、気分は悪くないか、他に痛いところはないか、などたずねているうち、だんだんとその違和感に戸惑いが生まれてきた。
少女期の何年もをお妃教育に費やしたコンスタンスは、完璧な淑女に成長していた。
そしてそれは王太子との婚約が解消され当時ヒース侯爵となったばかりのオレリアンに嫁ぐ頃も顕著に表れていた。
優雅で美しく。
何があろうと常に凛として。
周囲が騒がしかろうと、いつも冷静沈着に。
だがその実、喜怒哀楽に乏しく、本音を表に出さない公爵令嬢として。
それは、実の家族である両親や兄にも同じ態度で、3人はそれを寂しく思い、また常々、彼女をそんな境遇に追いやらざるを得なかった自分たちに非があると悔やんでもいた。
だが…、今目の前にいるコンスタンスはどうだろう。
「お父様!お母様!お兄様!」
3人の姿を目にして明らかに喜色の色を浮かべ、声をあげ、両手を広げている。
「コニー!」
「コニー!ああ、良かった!」
口々に名を呼びながら、3人が走り寄り、コンスタンスをそっと抱きしめる。
本当は可愛い娘を思い切り抱きしめたいところだが、頭を打っているため、これでも気遣っているのだ。
最初は目を覚ました喜びでいっぱいだった両親は、コンスタンスの異変に気づかない。
だが、気分は悪くないか、他に痛いところはないか、などたずねているうち、だんだんとその違和感に戸惑いが生まれてきた。
少女期の何年もをお妃教育に費やしたコンスタンスは、完璧な淑女に成長していた。
そしてそれは王太子との婚約が解消され当時ヒース侯爵となったばかりのオレリアンに嫁ぐ頃も顕著に表れていた。
優雅で美しく。
何があろうと常に凛として。
周囲が騒がしかろうと、いつも冷静沈着に。
だがその実、喜怒哀楽に乏しく、本音を表に出さない公爵令嬢として。
それは、実の家族である両親や兄にも同じ態度で、3人はそれを寂しく思い、また常々、彼女をそんな境遇に追いやらざるを得なかった自分たちに非があると悔やんでもいた。
だが…、今目の前にいるコンスタンスはどうだろう。
「お父様!お母様!お兄様!」
3人の姿を目にして明らかに喜色の色を浮かべ、声をあげ、両手を広げている。