7歳の侯爵夫人
(これは、非常にまずい)

たしかにオレリアンはコンスタンスと夫婦としてやり直したいと熱望していた。
今の彼女が自分を夫として見ていてくれることも、少なからず慕ってくれていることもわかっている。
でも、彼女の中身は7歳の幼女なのだ。
どんなに腕に当たる彼女の体が柔らかくても、どんなにいい匂いがしても、間違えても手を出したりするわけにはいかない。
それなのに…。

コンスタンスは絡めていた腕を外すと、オレリアンに甘えるようにすり寄ってきた。
「旦那様、腕枕して」

……ものすごく、まずい。

(無心だ。無心になるんだ、オレリアン)
オレリアンは無の境地で左腕を横に投げ出した。
コンスタンスは嬉しそうにそこに頭を乗せると、さらに体を寄せてくる。

3ヶ月前までの妻とならあり得ない展開に、オレリアンはギュッと目を瞑った。
記憶が無いというのは、なんて恐ろしいことなのだろう。

(もう…、なるようになれ)
オレリアンは無の境地のまま、可愛い妻の柔らかい体をそっと抱き寄せた。
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