7歳の侯爵夫人

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一方その頃コンスタンスは、侍女リアと邸の庭を散策していた。
朝食の後オレリアンは仕事があるので、それが終わるまで好きなことをして待っているように言われたのだ。

日差しが強くなってきたため、リアは外に出ることにいい顔をしないが、コンスタンスは日焼けなんて気にならないし、元々外が大好きだ。
花の手入れをしている庭師や厩舎で馬の世話をしている馬丁と話をしたり、庭に遊びに来た鳥や蝶を追いかけたりして時間を過ごしていた。

「旦那様がね、お仕事が終わったらお馬に乗せてくださるんですって。湖に遊びに行こうって」
キラキラと笑顔を輝かせながら話す主人に、リアは少々鼻白んだ。

たしかに今のヒース侯爵は一生懸命妻のご機嫌とりをしているが、リアとしてはまだまだあの男を信用してはいない。
公爵令嬢を妻に迎えながら、1年近くも放置しておけるような男なのである。

そう、あの男は、完璧な貴婦人で、リアが尊敬し、お慕いしていたお嬢様を蔑ろにしていたのだ。
急に改心して妻に償い、尽くしているように見えても、そんなことでリアの腹の虫は治らない。
今こうして、あの男にされてきたことを何一つ覚えていないという主人が夫を慕っていることも、本当に腹立たしいと思う。
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