7歳の侯爵夫人
6
オレリアンが妻コンスタンスを伴って自領に戻ってから、1ヶ月が過ぎた。
その間領内では、雨の日以外は毎日のように寄り添って出かける侯爵夫妻の姿が見られる。
オレリアンは少し遠かったり難しい内容の視察でも、ほとんど毎回妻を伴った。
行き先が少々危険で置いて行かなくてはいけない時は、早々に仕事を終わらせ、妻の元に飛んで帰った。
「ただいまコニー。いい子にしてたかい?」
文字通り今回も飛んで帰ってきたオレリアンは、庭の大木の陰で本を読んでいた妻に駆け寄った。
コンスタンスはとにかく外が好きらしく、本を読むにも刺繍をするにもいつも庭に出てやっている。
『日に焼けます』とリアが渋い顔をしても、コンスタンスはどこ吹く風だ。
だがいつもならすぐに『おかえりなさい!』と飛びついてくる妻が、今日はなぜか少し不満そうに顔を上げる。
「もう子供扱いはやめて、オレール」
「子供扱いって…。だって君はまだ7歳じゃないか」
戯けるように言って、オレリアンは妻の顔を覗き込んだ。
「7歳じゃないもの」
「俺の可愛いお姫様はご機嫌斜めなのかな?」
オレリアンは両手を広げたまま、妻が飛び込んでくるのを待っている。
しかしコンスタンスは唇を尖らせ、ふいっと横を向いてしまった。
オレリアンが困ったように後ろに控えているリアを伺うと、彼女は呆れ顔で、
「留守番させられて、拗ねていらっしゃるのでしょう」
と答えた。
「そうか…、ごめんね、コニー。昨夜は寂しかったんだね?これでも急いで帰って来たんだけどなぁ」
その間領内では、雨の日以外は毎日のように寄り添って出かける侯爵夫妻の姿が見られる。
オレリアンは少し遠かったり難しい内容の視察でも、ほとんど毎回妻を伴った。
行き先が少々危険で置いて行かなくてはいけない時は、早々に仕事を終わらせ、妻の元に飛んで帰った。
「ただいまコニー。いい子にしてたかい?」
文字通り今回も飛んで帰ってきたオレリアンは、庭の大木の陰で本を読んでいた妻に駆け寄った。
コンスタンスはとにかく外が好きらしく、本を読むにも刺繍をするにもいつも庭に出てやっている。
『日に焼けます』とリアが渋い顔をしても、コンスタンスはどこ吹く風だ。
だがいつもならすぐに『おかえりなさい!』と飛びついてくる妻が、今日はなぜか少し不満そうに顔を上げる。
「もう子供扱いはやめて、オレール」
「子供扱いって…。だって君はまだ7歳じゃないか」
戯けるように言って、オレリアンは妻の顔を覗き込んだ。
「7歳じゃないもの」
「俺の可愛いお姫様はご機嫌斜めなのかな?」
オレリアンは両手を広げたまま、妻が飛び込んでくるのを待っている。
しかしコンスタンスは唇を尖らせ、ふいっと横を向いてしまった。
オレリアンが困ったように後ろに控えているリアを伺うと、彼女は呆れ顔で、
「留守番させられて、拗ねていらっしゃるのでしょう」
と答えた。
「そうか…、ごめんね、コニー。昨夜は寂しかったんだね?これでも急いで帰って来たんだけどなぁ」