7歳の侯爵夫人
ーああ、そうかー
オレリアンはようやく思い当たった。
彼女はきっと、妬いているのだ。

あの晩餐の席でもたしかにあまり機嫌は良くなかったが、あの時は緊張しているのだろうと思っていた。
だが、言い寄られていたわけではないが、夫が若い女の子に囲まれていたことが、気に入らなかったのだろう。

「王都から来た領主が若くて見目のいい男だったもんだから、会長の娘さんたちも興味津々だったのでしょう。奥様がいるのにもかかわらず、ベタベタしてましたからねぇ」
ダレルの言葉が追い打ちをかけ、コンスタンスは顔を真っ赤にさせた。
まるっきり背中を向けてしまったが、お下げ髪の横から覗いている耳も真っ赤だ。
そんな妻は爆発的にかわいらしく、オレリアンは彼女を抱きしめて、こねくり回したくなった。

「もしかして妬いてるのか?コニー」
「知りません!」
「ああ!貴女は本当に可愛いなぁ!」
オレリアンはコンスタンスを背中からギュウッと抱きしめた。

「オレール⁈」
そのままお姫様抱っこで抱き上げると、彼女を抱いたままくるりと回る。

「ちょっとオレール!やめて!」
コンスタンスは振り落とされまいと、夫の首にしがみついた。
だがオレリアンは面白がってさらにくるくると回る。

やがてオレリアンが回るのをやめると、コンスタンスはコテンと彼の肩に顔を埋めた。
香水をつけているわけでもないのに、コンスタンスの甘くて可愛い匂いがふわりとオレリアンの鼻を擽ぐる。

「ああ、可愛いコニー。俺の目には貴女しか映っていないよ。貴女以外の女性は皆同じ顔に見える」
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