7歳の侯爵夫人
再び、王都へ

1

王都に戻ってきたヒース侯爵夫妻は、自邸に戻る前にまず妻の実家であるルーデル公爵邸に立ち寄った。
これから先も、夫婦としてコンスタンスと一緒に暮らしていく許しを得るためである。

離縁はともかく一旦は実家に戻すよう言われるかと覚悟していたが、公爵側は思いのほかあっさりとオレリアンを許した。

結婚以来1年近くに及ぶコンスタンスへの仕打ちを忘れたわけではない。
だが、彼女の事故の後、オレリアンは人が変わったように公爵邸に通い詰め、その上妻のためにと2ヶ月にも及ぶ休暇をもぎ取っていた。
また、義母や元恋人の問題もすでに片付いている。
さらに、ヒース領ではとにかく夫婦仲が良かったというリアの証言もあるし、それより何より、コンスタンスの夫を見る目が全てを物語っている。

『二度とコンスタンスを傷つけない』という約束の元、公爵も兄エリアスも彼女を取り戻すことは一旦諦めた。
もちろん約束を破ればすぐに取り戻すつもりだが。

そうしてオレリアンは、妻を連れて悠然と自邸に帰ったのである。
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