7歳の侯爵夫人
「あらあら、またお嬢様は草だらけになって」
リアが、草だらけになったコンスタンスのワンピースを手で払ってくれる。
でも払ったそのそばから、コンスタンスは走って飛びついてくるフィルを受け止めながら後ろに転がって、また、草だらけになるのだ。

「リア、無駄だ。きりがない」
背後から声がして、コンスタンスは振り返った。
リアの後ろには苦笑する兄エリアスが立っている。
コンスタンスは満面の笑みを浮かべると、
「おかえりなさい!お兄様!」
とエリアスに抱きついた。

「こらやめろ。僕にも草がつく!」
いちおう拒んではいるが、エリアスが満更でもないのを、リアは知っている。
その証拠に、
「ただいま、コニー」
と言うととびきり優しい笑顔を浮かべ、妹の体をさも愛おしそうに抱きしめた。

「さて、今日はどのくらい進んだのかな?」
エリアスがコンスタンスを促して邸の方へ戻ろうとすると、彼女は
「え?もう?お兄様も遊びましょうよ」
と唇を尖らせた。
「こらこら。夕食の前に復習しておかないとね」
「はあい」
仏頂面になった妹の手を取ると、エリアスは手を繋いで邸の方へ歩き出した。
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