7歳の侯爵夫人
「コニー、大丈夫か?」
オレリアンは焦った顔でコンスタンスの顔を覗き込む。
コンスタンスは目を閉じ、頭を抱えたままジッとしている。

冷やしたハンカチを頭に当てたり、背中をさすってやっていると、しばらく目を閉じていたコンスタンスがパチリと目を開けた。
「…オレール…」
「無理して話すな、コニー」
コンスタンスはオレリアンを見て微笑むと、
「ごめんなさい、もう大丈夫」
と言って起き上がろうとした。

「ダメだコニー。もう少しこのままでいるんだ。今ダレルが馬車を呼びに行ったから、今日はもう帰ろう」
「え⁈嫌よ、嫌!もっといっぱいオレールと歩きたい!」
「また連れて来てあげるから。今日は帰ろう、コニー」
「いや、帰りたくない」
「今日はダメだよ、コニー」
「オレール、お願い」

コンスタンスの瞳からポロリと涙が溢れる。
オレリアンはコンスタンスの涙にものすごく弱い。
でも心を鬼にして彼女に告げる。

「コニー…、貴女が心配なんだよ。帰ってお医者さんに診てもらおう?」
「診てもらったって同じよ。また何でもないって言われるでしょ?」

唇を尖らせながら訴えるコンスタンスを見て、オレリアンの方が泣きそうな顔になる。
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