7歳の侯爵夫人
最近コンスタンスは、こうして時々頭痛を訴えることがある。
ずっと続くわけではなく、少しジッとしていると落ち着いてくるのだが、その度にオレリアンは生きた心地もしなくなるのだ。

もしや事故の後遺症ではないかと医者に診せても、医者は特に異常は無いと言うばかり。
ただ、オレリアンにはこの頭痛がフィリップ王太子と関係があるように思えてならない。
事実、コンスタンスが頭痛を訴え始めたのはフィリップ王太子と再会した直後からだった。
その後も頭痛を訴えるのは王太子の噂を耳にしたりと、何かしら彼の名前が出てきた時だ。
今だって、王太子の成婚パレードの話が出た直後だった。
この頭痛が記憶喪失に関わっているのか、医者にもわからないし、当然オレリアンにもわからない。
だがオレリアンには、フィリップと会ったことによって記憶が蘇ろうとしているように思えるのだ。

正直、コンスタンスの記憶が蘇るのは怖い。
彼女が記憶を取り戻す時は、あの、冷え切っていた白い結婚と、薄情な夫であったオレリアンを思い出す時なのだから。
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