7歳の侯爵夫人
今のコンスタンスは7歳までの記憶しかなく、知識や常識も幼女並みだ。
元々ルーデル公爵家の教育方針は『子どもは子どもらしく』だったので、本当の7歳当時のコンスタンスの知識もマナーも、平均的7歳児以下であったことだろう。
彼女はただ、両親や兄や公爵邸に仕える者たちに溺愛され、笑っていてくれればいい存在だったのである。

それがー。
一変したのは、王太子の婚約者に決まり、お妃教育が始まってからだ。
いや、数年をかけて、徐々に変わっていったと言った方がいいだろう。

元気に笑っていた…、庭を転げ回っていたコンスタンスはなりを潜め、どこから見ても立派なレディに変貌していく。
それと引き換えに喜怒哀楽に乏しく、常に冷静沈着なコンスタンスが出来上がったのは、14、5歳の頃だったか。

(はた)から見ていても痛々しい程だったが、コンスタンスが王太子妃になることは王家が決めたことであって、家族はただ見守るしかなかった。
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