7歳の侯爵夫人
一方オレリアンは、妻と会えないのはわかっているのに、それでも毎日公爵家に足を運んでいた。

「毎日毎日ご苦労様です」
門番にまで憐れむような目を向けられ、オレリアンは苦笑した。

花はほとんど門番に託すのだが、時々リアやエリアスが出て来てコンスタンスの様子を教えてくれる。

『今日は部屋から出てきた』
『食事を一緒にとるようになった』
『時々笑顔を見せるようになった』
などという報告は、オレリアンを喜ばせた。

「君も難儀な奴だよなぁ。こんなこと、いつまで続けるんだ?」
公爵家からの帰り道、護衛のダレルに胡乱な目を向けられた。
ダレルは乳兄弟であり、2人きりになると突然こんな風にくだけた口調になる。

「さぁ、いつまでだろうなぁ」
そう言ってオレリアンは遠い目をした。
オレリアン自身、いつまでこんなことを続けるのかわからない。

正直、もしかしたら、もうコンスタンスとは二度と会えないのかもしれないとも思っている。
今の彼女の中に、全く自分はいないのだから。

「ただの、自己満足だよな」
ポツリとこぼす主人に、ダレルはなんとも言えない切なげな目を向けた。
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